田部田の馬頭観音

田部田鎮守神社のある丘は「田部田陣」という中世の城跡です。地元では「コジョンデラ=古城平」と呼ばれています。

 

田部田鎮守神社のある丘は「田部田陣」という中世の城跡です。地元では「コジョンデラ=古城平」と呼ばれています。神社の入り口近くに祠があり、その中に馬頭観音の石仏が祀られており,地域の方々に大切に守られてきました。祠の表面が風化し,一部の文字を除いては銘文が消えていますが,江戸時代の記録に享保四(1719)年二月十七日に建立された事が記されています。
 馬頭観音は,観音菩薩の変化身の一つで六観音の一尊とされ,頭に馬の冠をかぶり,目を吊り上げ髪を逆立てた怒りの表情が特徴です。この馬頭観音は三つの顔と八本の腕を持ち,馬に乗った姿をしています。正面の顔と馬の顔が風化していますが,全体的に保存状態がよく,馬の体は茶色に着色されています。
 江戸時代以降,馬頭観音は死んだ牛馬の供養や、早馬という農耕馬の競争をしていた早馬場と呼ばれる場所に建立されました。この近くに牛馬にソリを引かせて競争する早馬場あり、競争で牛馬が怪我をしないよう早馬神としてこの馬頭観音が祀られたと言い伝えられています。南薩地方では祠型の馬頭観音や早馬神が主流で、南九州市川辺町地域で確認されている唯一の石仏型です。

農事組合法人たべた 田んぼアート実行委員会